学生時代からチョコレート沼にハマり、
フランスショコラティエの日本展開関係のお仕事にも関わり、
他業界へ移ったのちもチョコレートエキスパート(チョコレート検定中級)を取得して日々チョコレートとの出会いを求める・・・
そんな生活をしているライターの蒼蓮です!
今回は、最近私が気になっている【モディカ・チョコレート】についてお話しさせていただきます!
周りのチョコレートマニアの中でも独特なこのチョコレートが癖になってきてる人が続出しているのですが、
皆様はこの【モディカ・チョコレート】って何かご存知ですか?
⑴モディカ・チョコレートってどんなチョコレート?
モディカ・チョコレートは、ブランドではなく、伝統的な独自製法で作られたチョコレートのことです。
イタリアはシチリア島、モディカという街で作られていますが、
古代アステカ→スペインに伝わったチョコレートの製法が、元はスペイン領であったモディカ(1861年のイタリア王国建国以降イタリアに属し、それまではムスリム文化とノルマン人の文化が融合するシチリア王国時代やスペイン領時代のある地域。)に残されたとも言われており、他のイタリアのチョコレートとは大きく異なる味わいであり、「誰がいつ開発したか」というようなレベルではない歴史を誇るチョコレートでもあります。
※ スペインに伝わった当時は、カカオを炒って皮を除き、石臼で粉末にし、水やスパイスを加えた薬としての「ショコラトル」でした。
モディカ・チョコレートの味わいの特徴は?
・ カカオバターを使用しないから脂っぽさがない、また溶けにくくギフトにしやすい
・ 低温で加工されるので砂糖のザリザリ感が残っている
・ 高温で加工されないのでカカオの独自のアロマが強く残っている
・ 多くはスパイスを使用されており、そのアロマも楽しめる
ちなみに
現代のチョコレートは、その後イギリスで進んだ機械化により
カカオはカカオマスとカカオバターに分けられるのが当たり前、さらにこのカカオマスとカカオバター、砂糖、粉乳を練り上げつつ作るのがスタンダード。
このカカオバターを使わないものはほとんどなく
日本人はこの「滑らかではないチョコレート」に馴染みがほとんどないのではないでしょうか?
(2)オススメのモディカチョコレート
実は日本でもイベントや、オンライン、あるいは店頭でモディカチョコレートを扱っていらっしゃる先があります!
私のオススメブランドを二つご紹介しますね!
① antica dolceria bonajuto
モディカチョコレートでBEAN TO BAR
こちらは日本ではなかなか見られない、
マジパンのお菓子!
1880年創業のイタリア、シチリア島モディカのチョコレートショップで、
シチリア伝統的なお菓子のレシピを守り続けており地元からも愛されているそう。
新たなレシピにも挑戦されており、見かけるたびに面白いチョコレートやお菓子に出会うことができます。
マジョラム・カルダモン・白胡椒・シチリアのレモンやオレンジを使う伝統的なものから、
カカオバターを使わないモディカチョコレートの中で、ホワイトチョコレート(カカオバターを使用)やBeen to barのモディカチョコレートにもチャレンジされるなどレシピが多様なのも魅力です。
私はこちらで、甘さが少なく、伝統的なスパイスやハーブとカカオのアロマを生かしたチョコレートを楽しむのがとても好きです!
蒸留酒などに合わせて楽しむのも良いですね!
日本ではサロン・デュ・ショコラにも出品。
また平素は下記のオンラインショップでも取り扱いをされています。
https://www.porcobacio.info/product-list/82
② CIOKARRUA
こちらは2000年に創業されていますが、新しいチョコレートの製法ではなく、伝統的なモディカチョコレートに取り組んでいらっしゃいます。
元々は現地の食材であるイナゴ豆を使った食品を生産する企業だそうで、
現地で食されているサボテンなどもフレーバーとして展開されていますが、チョコレートに関しては、古代のスペインのレシピを再現されたものとのこと(HP参照)。
オレンジやコーヒー、ジャスミンといった馴染みのある素材が多く、
甘さもあるので、初めてモディカチョコレートを試す方にもお勧めです!
かなり分厚いバーで食べ応えがあるのも嬉しいです!
今回私は伊勢丹新宿店で開催されていた(会期終了)イタリア展で出会いましたが、平素は下記オンラインショップでも扱われています。
http://olivasiculashop.com/?mode=cate&cbid=1456967&csid=0
(3)背景を知るとさらに楽しい各地のチョコレート事情
今回、イタリアはシチリア島モディカという村で引き継がれてきたモディカチョコレートを紹介しましたが、イタリアは他にも独自のチョコレート文化が根付いています。
そもそもチョコレートは国によって大きく特徴が分かれますが、
ヨーロッパは国の境界がその時代ごとに変わるため、その地域ごとに歴史や文化が大きく異なる部分がチョコレートに反映しているもの、知っていくと面白いと思っています。
チョコレートの歴史は世界史と繋がっているなあとひしひしと感じますね!
特に有名なところだけ抜粋してご紹介しますと、
イタリアを代表するチョコレートの一つ、ピヨモンテ州トリノで作られる「ジャンドゥイオット(ジャンドゥイオッティ。カファレル社にて1865年に開発とのこと(公式サイト参照))」。
こちらはカカオから作られたココアと、焙煎したヘーゼルナッツを粉砕し、合わせて練り上げて作られたものです。
当時ナポレオンの支配下にあって大陸封鎖令の影響を受けていたため(フランス革命後プヨモンテ州の地域はフランスの衛星国ピヨモンテ共和国となっていたり、地理的にフランスの影響を受けやすい地域)、ココアの輸入が困難で高騰した事情も背景にあって誕生したようです。
ちなみにピヨモンテ州はヘーゼルナッツを特産物ともしていますね。
機械の開発も進み始めた時代であり、細かく粉砕、練り上げられています。
異なる歴史文化を育んできた、モディカチョコレートは、ココアはふんだんに使用されたまま、古代アステカから伝わった、製法が残り低温で砂糖が解けない独特の混ぜ方で作られています。
(4)どうやってチョコレートとの出会いを探すのか?
もちろん各ショップさんのオンラインで購入するのも一つの手段ですが、
より多くの中から探したい、出会いたい、
というときにお勧めなのが百貨店などで開催される「国別」イベントです。
今年はみなさん感染症対策により注意した形でありますが、
国単位の企画イベントなどを全国で開催されており、オンラインでも購入が可能になっています。
今回私がお伺いしたのは伊勢丹新宿店さんの「イタリア展」でした!
伊勢丹さんは「サロン・デュ・ショコラ」に代表されるチョコレート催事も有名ですが、過去開催されたフランスやイタリアなどの企画展でも面白いメーカーさんやパティシエさんとともにチョコレートもチョイスされています!
他にも各百貨店系列のHPを拝見していると、イタリア・フランスなどの企画展では各国のチョコレートブランドがオンラインで購入できるようになっていることがあるので要チェックです!
終わりに
今チョコレートの世界で大きな潮流となっている、
been to barは産地ごとのカカオのアロマを楽しめることが特徴でもありますが、
チョコレートはそもそも各地の文化歴史も反映して楽しむことができます。
ワインの世界でもそうですが、知識欲求を満たすような嗜好品は、
単に味のみでなく、その世界観を知っていくと本当に「沼にハマる」ようにはまってしまいますね!
かなり特徴的な食感、製法、歴史、を持つ【モディカチョコレート】は「チョコレート沼にハマっている」方にもお勧め。
まだ食べたことがないよーという方はぜひ試してみてください。
ちなみに、かなり分厚くて硬い食感のバーが多く、スパイス系が多くて砂糖や乳成分が控えめなものが多いため
夜に食べても罪悪感が少なく、記事を書きながら食べすぎそうになっては、
ちびっこ(子供)「あと1個ね!」と注意される始末の筆者なのでした・・・