チョコレートがお好きな方なら、「ココアバター」という言葉を聞いたことのある人は多いでしょう。このココアバター、実はチョコレートの美味しさを左右する大切な素材であり、しかも様々なパワーを秘めています。今回はこのココアバターについてお話します。
ココアバターとは?
ココアバターはカカオ豆だけに含まれる脂肪です。カカオ豆から皮を取り除いてすりつぶしたものを「カカオニブ」と呼びますが、その約55%がココアバターです。「カカオバター」と表記されることもありますが、同じものを指します。
チョコレートの美味しさの鍵を握るココアバター
市販のチョコレートで、たまに口にいつまでもまとわりついたり、口どけが悪かったりするものに当たることはありませんか?それはひょっとするとココアバターの含有量が低かったのかもしれません。
ココアバターの最大の特徴は「融点が低い」こと。例えば、バターはその半分が50度以上で溶けるタイプの油脂でできており、全体としても融点は40度近く。ココナッツバターは38~48度です。
それに対してココアバターの融点は32.8度と、体温よりも低い温度で溶けます。しかも、じわじわとほぼ一定のペースで溶けるバターと違い、ココアバターは融点に達すると一気に溶けながら味を香りを放ちます。
この性質がチョコレートの口どけの良さの秘密。体温以下で一気に溶ける植物性オイルはココアバターだけです。ココアバターは口に入れるとすぐにとろけるチョコレートの美味しさに直結していたのですね。
お肌にもカカオパワー
ココアバターが人の体温より低い温度で溶けるため、皮膚につけるとすっとお肌に馴染みます。そのため美容オイルとしても様々な化粧品にも活用されています。
・酸化しにくい
ココアバターは抗酸化成分を含んでいるので、酸化しにくい性質があります。そのため保存料が要りません。
・乾燥に強い
ココアバターの約3割はオレイン酸。これは人間の皮脂にも含まれている成分です。
・ほんのりとした香り
他のオイルにはない強みの一つ、自然な「香り」。ココアバターは香料など入れなくても、チョコレートのほのかな甘い香りを放ちます。癒されそうですね。
ココアバターはカカオ豆にしか含まれない素晴らしいオイルです。美味しくてお肌にも良いココアバター、上手に取り入れてみてはいかがでしょうか。